コラム79 ~「うっかり」じゃ済まない
新型コロナウイルスの第7波が収まり、海外からの受け入れも規制がなくなり、旅行支援も始まり、やっぱり感染者が増えてきました。
全国の新たな感染者は2万2千人を超え、重症者、死亡者とも増えています。(第8波の始まり?)
みんな、疲れ・ストレスが溜まっていて、気が緩むのも、しょうがないとは思いますが・・・
先日(10月28日)、将棋の対局で事件が起きました。
元名人の佐藤天彦九段と、王座のタイトルを持っている永瀬拓矢王座との対戦で、佐藤九段が長時間(実際には、30分以上を2回)マスクを外し、いきなり「反則負け」となった事件です。
将棋連盟は、コロナ禍で、「対局中は、一時的な場合を除き、マスクを着用しなければならない」とし、「違反した場合は、立会人の判定により反則負けとなる」と定めています。
この日の対局は、立会人がおらず、終盤の夜11時過ぎに永瀬王座が「反則負けではないか」と関係者に指摘し、急遽駆け付けた理事と、会長が協議した結果、29日0時過ぎに反則負けが決まりました。
SNSでは、この判断を巡り賛否の声が渦巻きました。
批判の多くは、「一回の警告もなしに、いきなり反則負けとしたこと」、「一時的という規定があいまい」、「注意すればいいだけ」などです。
棋士からも、「これはおかしい」、「残念」などとコメントが多数出されました。
ちなみに、将棋連盟は、この「一時的」は「飲食をしているとき」「周りに人がいないとき」等を想定しており、棋士に通達していることを31日公表しました。
さらに、今後、「長時間の対局においては、立会人を設ける」ことを決めました。
私が残念だと思うのは、指摘をした永瀬王座が、数多く批判されていることです。
子供の将棋教室でも、先生も、大人も子供達も、みんなマスク着用は徹底しているそうです。
それは「相手へ感染させないためのリスペクト」なのだそうです。
悪気があるとは思いませんが、12時間以上、至近距離で、正面に長時間マスクをしない人が座っていたら、気になるどころか、恐怖に感じる人もいると思います。感染したら、「うっかり」では済みません。
棋士の中でも、実際、相手への敬意を欠いて「ノーマスク戦法」で相手を不安にさせる対局もある、と言われています。
「もし永瀬王座が指摘しなかったら、マスク反対の棋士がみんなノーマスク戦法をやり始める。テロ行為と同じである。」という意見もあります。
また、元名人の先輩に向かって、「マスクをしてください」とは言えないでしょうし(対局中に話しかけるのもルール違反です)、他にペーペーの記録係しか現場にはいません。
永瀬王座が批判される理由はないと思います。(本人は、この事件をどう思っているかわかりませんが、31日の対局は負けました。)
今回の事態の奥底には、「コロナに対する油断」があるように思います。
「まだまだ」どころか、増えています!
『「ノーマスク」の日が早く来るように』と祈りつつ、今回の事件を教訓にしたいと思います。
もう少し、頑張りましょう!!